全身がん検査DWIBSについて
全身がん検査DWIBSについて
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全身MRI DWIBS(ドゥイブス)とは
がんは日本人の死因で一番多く、その割合は年々増加しています。
また、発見が遅れるほど治る確率は低くなり、早めに治療をしても再発する可能性もある、というやっかいな病気です。
がんに対する治療技術の研究も進んできましたが、やはり「早期発見」「早期治療」が一番重要です。摂南総合病院では、MRIを使用した「がん」を発見する新しい検査技術として「DWIBS(ドゥイブス)」を導入しました。
DWIBSとは「Diffusion-weighted Whole body Imaging with Background body signal」の略で、2004年に日本人医師によって開発された比較的新しい検査方法です。頭頂部から骨盤部までの体幹部をMRI(Magnetic Resonance Imaging)で撮影し、病変、特にがんを探します。
最近は尿を用いた線虫による検査や、がん探知犬検査(呼気を用いたがん探知犬による検査)といったがんのスクリーニング検査を多くの方が受けられています。これらの検査によってがんを持っているリスクが高いと判定された場合、どこにがんがあるかはわかりません。
そのような時にも役立つのがDWIBSです。 -
MRI:SmartPath to dStream for 3.0T(PHILIPS)
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DWIBS(ドゥイブス)による全身のがん検査
「DWIBS」とは、MRIの高性能化によって可能となった「全身のがん検査」です。先行の「全身のがん検査」としてPET-CTがあります。ほとんどの悪性腫瘍(がん)は、エネルギー代謝(糖代謝)が高いことに着目し18Fで標識されたブドウ糖類似薬剤であるFDGを体内に投与することで、悪性腫瘍の診断に有用であることが1980年に報告されました。その後、全身がん検査として行われています。
一方DWIBSは、PET-CTの原理とは異なり薬剤を用いずMR原理を巧みに使ってがん検索を可能としています。通常のMRIの信号源はH(水素)プロトンからなる水と脂肪になります。MRI内(大きな磁石の中)で人体に電磁波を照射することで、体内から発生する微弱な信号をコイルと呼ばれる受信機で読み取り画像化されます。撮像された画像は電磁波の照射パターンによって組織特有の色調となって描出されます。DWIBSは、脂肪信号を均一に抑制しながら水が白く描出される電磁波の照射パターンにMPG(Motion Probing Gradient)と呼ばれる特別な磁場を与えることで悪性腫瘍に多い特徴(細胞数の増加により細胞間が密になっている部位)を画像化することが可能となりました。
本法は、PET-CTとは異なり薬剤投与を要せず、被ばくを伴わず、また、糖尿病の方でも安心して受けて頂くことが可能ながんの全身検索検査として注目・実施されています。
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DWIBS(ドゥイブス)による予期せぬがんの検出
DWIBSは「新しい診断機器の健診への応用とこれらを用いた診断精度の向上に関する研究」によると全身の予期せぬがんを検出できる可能性が見いだされています※。また、本撮像法は放射線被ばくがなく、造影剤投与も不要であるため定期的な検査が可能です。
DWIBSの実施にあたっては、まず、MRIを使用するため体内にペースメーカなどの装置や金属などが挿入されている方には施行できない場合や一部描出不良が起こる場合もあります。撮影時間は体格にもよりますが30-40分程度です。
DWIBSで描出されやすいがんとしては肺がん、乳がん、大腸がん、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がんになります。これらはPET-CTと同等もしくは同等以上の検出率と言われています。
本撮影の特徴としてリンパ節や脾臓などの一部の正常構造物が描出されますが、基本的に背景信号を抑制された画像になります。
そこで当院では、胸腹部CT画像と対比させながらDWIBSの信号を解釈することでがんの検出率向上に努めています。引用:厚生労働科学研究費補助金(第3次対がん総合戦略研究事業)総括研究報告書
全身MRI(DWIBS)とPET-CTとの比較
全身MRI(DWIBS) | PET-CT | |
---|---|---|
被ばく | なし | あり (放射性薬剤とX線を用いるCTによる2重被ばく) |
薬剤投与 | なし | 放射性薬剤を静脈注射 |
検査前の食事制限 | なし | 検査前は絶食、インスリン制限あり |
検査時間 | 約30分 | 検査薬の注射を含め約3時間 |
検査後の処置 | なし | 検査薬の放射能が下がるまで待機 |
糖尿病患者の検査 | 検査可 | 検査できない場合がある |
DWIBSとPET-CTのがん検出比較
がん死亡順位 | DWIBS | PET-CT |
---|---|---|
肺 | ○ | ○ |
大腸 | ○ | ○ |
胃 | ○ | △ |
腎臓 | ○ | ○ |
肝臓 | ○ | ○ |
胆嚢・胆管 | ○ | △ |
乳房 | ○ | ○ |
悪性リンパ腫 | ○ | ○ |
前立腺 | ○ | ○ |
食道 | ○ | △ |
膀胱 | ○ | ✕ |
○…可能 △…不向き ×…不可能
DWIBSの注意点
下記の方は、医師の判断によって、受けていただけない場合があります。
- 心臓ペースメーカー・体内埋込型除細動器をご使用中の方
- 人工内耳・金属製の義眼など体内金属がある方
- チタン製以外の動脈瘤クリップが入っている方
- 入れ墨・タトゥー・アートメイクをされている方(種類・部位・範囲によります)
- その他医師が不適当と判断した方
検査の流れ
検査前
食事制限、水分摂取の制限はありません。食べ過ぎないようにだけご注意ください。
当日の流れ
- 1お着換え・問診票の記入
- 2問診票の確認・体調確認
- 3DWIBS実施(約30分)
- 4お着換え
- 5会計
- 6お帰り
検査結果の報告
検査結果のレポートは、約2週間後に完成します。他の検査と組み合わせた場合は約1か月後になることがあります。
検査結果のご用意ができ次第、当院より連絡を差し上げます。
結果については、院長からの結果説明(再診料5,500円)と結果レポート郵送のいずれかをお選びいただけます。
診察料金について
36,000円(税込:39,600円)
オプション:胸部 CT + 6,600円(税込)
ご予約や詳細については、お電話にてご連絡ください。
06-6909-5899
(放射線科 直通電話)
- 月曜日~金曜日:
- 9:00~19:00
- 土曜日:
- 9:00~12:00